「ぐだぐだ明治維新」をより楽しむために
『Fate/Grand Order(FGO)』にて4月5日(水)より期間限定イベント「ぐだぐだ明治維新」が開催されますが、明治維新と聞いて「あぁ、あの時代のこういう出来事ね」と答えるのは、ドラマや小説の題材になることが多くとも、自身の言葉で説明するには少々難しいのではないでしょうか。
そこで今回は、『FGO』プレイヤーにはお馴染み、「沖田総司」が所属していた「新選組(※新撰組とも書く)」を軸に、明治維新の時代背景と、「ぐだぐだ本能寺」イベントで沖田総司があの台詞を発した理由を紹介していきます。
明治維新とは
先に明治維新の概要を把握しましょう。
明治維新とは、江戸幕府末期(幕末)~明治時代初期までの流れ、それに伴う社会的・政治的な改革のことを指します。
一連の流れの中で、どの出来事が始点・終点かは諸説ありますが、それくらいに行われた出来事の総称なんだと大雑把に覚えれば良いかと思います。
では、概要を掴んだところで、今度はもう少し範囲を狭めて、その時代に活躍した団体「新選組」にスポットを当てて明治維新を解説していこうと思います。
新選組とは
様々な創作物に姿形を変えて登場している新選組ですが、歴史上はどのような活動団体だったのでしょうか。
一言で言うと新選組は、幕府側の治安維持部隊です。
とは言え、新選組が結成させる前も、現代で言う警察のような組織がなかったわけではありません。では、なぜ新選組が結成されたのでしょうか?
時代背景と共に新選組の成り立ちを追っていきましょう。
新選組が結成された背景
新選組が結成された背景を詳しく知るためには、時代を遡って、日本が200年続けてきた鎖国政策の終焉から話さなければなりません。
とは言え、そこまで遡って説明すると、それはもう歴史の授業になってしまうので、大まかな流れだけを説明します。
鎖国~倒幕までの大まかな流れ
出来事 | 概要 |
鎖国状態に | 特定の国以外との取引を禁ずる政策をとる |
↓200年くらい続く |
ペリー来航・開国を迫る | 清国との貿易をもっと活発に行いたいので、日本を寄港地にしたい |
↓幕府が開国を判断 ↓不平等条約成立 ↓薩長を始めとする諸藩で危機感が高まる ↓外国を排除しようとする動き「攘夷運動」が活性化 |
外国との戦争勃発 | 薩英戦争(薩摩藩vsイギリス) 下関戦争(長州藩vsイギリス&フランス&オランダ&アメリカ) |
↓善戦するが西欧列強の凄さを目の当たりにする ↓今は外国勢力に敵わない……国一丸とならないと ↓弱腰の幕府が中心になるよりも、新政府樹立して俺らが舵取りしたほうが良くね? ※その頃の幕府は弱腰外交などで批判の的だった |
倒幕に向けて動き出す | 薩摩と長州が手を組む(薩長同盟) |
※薩摩藩:現在の鹿児島県と宮崎県あたり。長州藩:山口県あたり。
明治維新の流れはまだ続きますが、一旦ここまで。
薩長同盟が成立したのは、新選組が結成された時期より後のことになるのですが、新選組が結成された背景には、このように倒幕を目指す過激派志士と呼ばれる存在が関係しています。
過激派志士は、自身の行く末が正義と信じて疑わないので、いろいろとはちゃめちゃなことをして治安を悪化させました。
このような時代の中、俺らが治安維持をしてやるよ!と手を上げたのが、新選組の前身である「壬生浪士組」。元からあった警察のような団体・京都守護職が、じゃあ頼んじゃおうかな~と、過激派志士の取り締まりや市中警備を任せたのが始まりとなります。
新選組の活動・メンバー
では、実際に新選組はどんなメンバーがいて、どんな活動をしたのでしょう。
創作物でよく目にする有名どころは、局長(トップ)の「近藤勇」や、副長の「土方歳三」「山南敬助」、組長の「沖田総司」「斎藤一」「永倉新八」あたりでしょうか。
この中で、『FGO』では2015年に開催された「ぐだぐだ本能寺」イベントで沖田総司が、そして2017年4月5日(水)より開催される「ぐだぐだ明治維新」では、幕末のバーサーカーこと土方歳三が登場しますね。
新選組の活動
新選組が関わった事件は「禁門の変」や「油小路事件」など数多くありますが、最も有名な事件と言うと、「池田屋事件」がありますね。
京都を火の海にし、要人を誘拐しようと目論んでいた長州藩や土佐藩※の志士を池田屋で襲撃し、事前に防いだ事件です。
※現在の高知県あたり。
「池田屋事件」を始めとした活動を行っていくことで、反幕府勢力を次々と取り締まっていきましたが、その健闘むなしく、1876年の大政奉還によって江戸幕府は解体。新選組は一転反体制組織として粛清の対象になりました。
倒幕~戊辰戦争終結まで
出来事 | 概要 |
倒幕派vs幕府側 | 各地でいざこざをおこす |
大政奉還 | 倒幕を目指す集団と武力で衝突する前に、 江戸幕府側が朝廷から預かっていた日本の政権を返上する (※天皇は頂点であり、幕府は実権を預かっていたに過ぎない) |
↓倒幕派「返還しても実権握ってるのはまだ幕府側じゃね?」 ↓倒幕派「先手打たれたけど、やっぱりクーデター起こそうぜ」 |
王政復古の大号令 | 幕府を廃止、権威を削いで、新政府を樹立する旨を発表 |
↓このやり方に憤りを感じた旧幕府軍は非難すると共に残存勢力を集結 |
戊辰戦争勃発 | 新政府軍は旧幕府軍の掃討作戦に討ってでる |
↓旧幕府側である新選組も戦争に参加するが力及ばず、新政府軍の勝利に終わる |
明治政府樹立 | 内戦が終結したことで明治政府が国際的に認められる |
支持団体が解体されたとしても、明日から綺麗さっぱり別団体に乗り換えるなんてことはできないと思いますし、新選組もそうでした。旧幕府側の勢力となり、薩摩藩・長州藩・土佐藩などを中心とした新政府軍と、最後の戦いに討ってでます。
しかしながら、先の表にも記載している通り、最終的には新政府軍の勝利に終わります。近藤は敵に囚えられ処刑、沖田は持病が悪化し病死、土方は最期まで粘りますが函館の五稜郭で戦死と、新選組に名を連ねていた歴戦の隊士らもこの世を去りました。
薩長死すべし、慈悲は無い!!
『FGO』のイベント「ぐだぐだ本能寺」で、沖田総司が発した「薩長死すべし、慈悲は無い!!」 という台詞は、この一連の流れから来ているんですね。薩摩藩、長州藩が決起しなければ、そもそも戊辰戦争は起こらなかったですし、新選組の隊士たちが死ぬこともありませんでした。
まあ、完全に八つ当たりなんですが……。
長宗我部、毛利、島津というサーヴァントの名前に呼応して、病弱時から復帰した時も同じ流れですね。彼らはそれぞれ土佐、長州、薩摩藩の藩主であり、言うなれば隊士たちの仇です。
▲「ぐだぐだ本能寺」に登場した戦国時代の人物と結び付けられたサーヴァント。
「ぐだぐだ明治維新」は、その時代に存在していない「茶々※」が登場すると予告で発表されていますので、どれほど史実とリンクしているかはわかりません。
とは言え、「ぐだぐだ本能寺」のように史実と登場するサーヴァントの名前(毛利メディナリなど)がリンクすることもあるので、登場するサーヴァントやその時代背景を知っておくとより楽しめそうですね。
※1615年没。浅井長政と織田信長の妹・市の娘、豊臣秀吉の側室。