『マジック:マナストライク』開発統括ディレクターインタビュー
Netmarbleより配信中の『マジック:マナストライク』。本作は、「マジック:ザ・ギャザリング」の世界観でリアルタイムPVPゲームを楽しめます。世界中で人気の
「マジック:ザ・ギャザリング」のキャラたちが3Dで描かれ、白熱のバトルを演出します。
今回は、開発統括ディレクター「ジャン・ヒョニル」氏に、『マジック:ザ・ギャザリング』のゲームコンセプトや開発秘話をインタビューしました。『マジック:マナストライク』をプレイ中の方や、まだプレイをしていない方も必見のインタビューです!
『マジック:マナストライク』先行プレイレビュー
原作の世界観を表現したリアルタイムPVPの開発秘話
▲開発会社ネットマーブルモンスター『マジック:マナストライク』開発統括ディレクタージャン・ヒョニル氏(以下、ジャン)
――リリースを迎えた率直なお気持ちをお聞かせください。
ジャン:大変嬉しく、興奮しています。自身が子供の頃から「マジック:ザ・ギャザリング」を楽しんできましたし、憧れのIPであるので、『マジック:マナストライク』は、私には特別な意味のある大きなプロジェクトです。しかし、それだけ負担やプレッシャーも大きくなりますが、日本を含む全世界の多くのプレイヤーにゲームを楽しんでいただきたいと思います。
――プレイヤーに対して、ここを一番楽しんでほしいというポイントがありましたら教えてください。
ジャン:英雄キャラクターであるプレインズウォーカーと5種類の色のマナで作る戦略性です。『マジック:マナストライク』では、原作の世界観を反映して白、青、黒、赤、緑の5つの色を元にカードが製作され、プレイヤーはプレインズウォーカーと同じ色のカードで自分だけのデッキを構成します。それぞれの色は、互いに干渉しない独自の特徴と戦略があり、プレインズウォーカーのスキルにも影響を与えることになります。
これらの要素を介して、プレイヤーは対戦相手とバトルをする際に、多様な戦略があることに魅力を感じると思います。
――開発中のこだわり、バランス調整で苦労した箇所、重視したポイントがありましたら教えてください。
ジャン:「マジック:ザ・ギャザリング」の多くのカードの中から、IPの個性と特徴を維持しながら、『マジック:マナストライク』だけのゲームの世界観にふさわしいカードを選定し、能力を実装する点が最も困難でした。
原作で有名なカードを使用すると、ファンの期待に応えるため、能力と使用コストなどの細かい部分で完璧な考証が必要になりました。しかし、別ジャンルである『マジック:マナストライク』で、これらの微細な設定を完全に維持するのは大変難しく、最終的に、カードの中で最も重要な特徴を最大限強調し、バランスに影響を与える要素は自由に使用することを決めました。
例えば、「夜明けのレインジャー」と「血統の守り手」は、原作とは異なる攻撃力と召喚コストを持っていますが、それぞれ狼男と系統の王に変身する特徴は維持しており、この様な部分は、ゲームをより興味深く作る要素になったと思います。
これに加え、原作の世界観を元に、『マジック:マナストライク』だけの新しいカードを制作し、追加しています。
――開発チームからみたゲーム内の重要なコンテンツとその特徴を教えてください。
ジャン:ランキング戦です。『マジック:マナストライク』はPVPベースのリアルタイム戦略ゲームであるため、相手との実力を競って、その結果に基づいて順位を表示するランキングが一番重要なコンテンツだと思います。
――MTGのキャラが3Dで動くというのは原作ファンが期待する1つの要素となりそうですが、制作にあたって苦労した点などありますでしょうか?
ジャン:アート的な部分では、原作が2Dカードゲームなので3Dで表現するためには難しい点が多くありました。特にファンの中で有名なカードの場合、デザインが複雑すぎて3Dに適していない、または画像だけでは攻撃の形や動きを想像することができない場合が非常に多く、IPホルダーのWotCと多くの意見を交わしながら、作業を進めてきました。
企画的には、「マジック:ザ・ギャザリング」の5つの色の特徴をプレインズウォーカーと限定されたカードだけで表現する部分にかなり多くの時間をかけました。例えば赤の速攻火力や、黒の特徴であるアンデッドと呪いなどの能力を視覚的にどのように表現するべきか、どうすれば原作の世界観を維持し表現できるのか、とても苦労しました。
『マジック:マナストライク』今後の展開は?
――eスポーツ大会の開催予定はありますか?
ジャン:もちろんです。プレイユーザーの基盤が十分に構築され、eスポーツに十分な量のカードがリリースされたら、eスポーツやその他大会を通じて、長期的により多くのプレイヤーに楽しさを提供したいです。
――今後ゲームを広めるにあたり考えているメディア展開といった施策などはありますか?
ジャン:SNSを介したメジャーアップデートまたはビッグイベントのプロモーションを検討しています。さらに、「マジック・ザ・ギャザリング」の新しいカードセットをベースに『マジック:マナストライク』のアップデートが行われる予定です。アップデート時期によっては「マジック・ザ・ギャザリング」の発売前に、「マジック:マナストライク」で先に公開されているプレインズウォーカーやカードがでてくることもあります。
「マジック:ザ:ギャザリング」のキャラを本作でうまく体現したカード
――開発チームが推してる特定のカードはありますか?ありましたらその理由も教えてください。
ジャン:「血統の守り手」と「夜明けのレインジャー」です。
両方のカードには変身能力があり、原作のコンセプトを維持しながら『マジック:マナストライク』でうまく体現した代表的なカードです。
開発チームにとっての関心事で苦労した分野の1つが、「マジック:ザ:ギャザリング」の複雑な力を『マジック:マナストライク』で表現する方法でした。カードゲームで条件が満たされたとき、裏返されて変換されたカードの能力は非常に興味深い素材であり、どうにかしてそれらを『マジック:マナストライク』に含めて表現をしたいと考えました。私たちはいくつかのカードを候補として見つけ、最終的に「血統の守り手」と「夜明けのレンジャー」に決定しました。
それぞれ系統の王と狼男に変身するユーザーには馴染みのあるカードです。結果として良い選択となりましたが、カードゲームとは異なり、変身のルールやタイミングを決定することは非常に困難であり、この分野では多くのテストと変更を行いました。
『マジック:マナストライク』では原作の詳細な能力から変更を行ったカードがたくさんあるので、それらを1つずつ比較するのも楽しいかもしれません。
オリジナルファンだけでなく「マジック:ザ:ギャザリング」を体験したことのないゲーマーにとっても魅力的なゲーム
――リリースしてまだ間もないですが、それを踏まえた今後の意気込みや目標などを教えてください。
ジャン:韓国国内でもグローバルでも目標は同じです。対戦ゲームとして、より長くプレイをし多くのユーザーの方々に楽しんでいただきたいと思います。短期の成果にとどまらず、毎年着実に大会が開けるくらい十分愛されるゲームになることが希望であり目標です。
―― 最後に本作を楽しんでいるユーザーの皆様にメッセージをお願いします
ジャン:『マジック:マナストライク』は、オリジナルファンだけでなく、「マジック:ザ:ギャザリング」を一度も体験したことのないゲーマーにとっても魅力的なゲームです。3Dで原作の世界観がうまく再現され、リアルタイムゲームとしても戦略的であり大変楽しいゲームになっていると思います。多くの人が遊んでくれることを楽しみにしています。ありがとうございました。
プロデューサープロフィール
ジャン・ヒョニル
開発会社ネットマーブルモンスターのディレクターで、『マジック:マナストライク』の開発統括ディレクター。
Angling The Giantを開発したTaff Systemでの経歴をスタートし、DO Online, Kick Off, Prius Onlineなど、多様なジャンルのゲーム開発に携わる。
自身も96年から「マジック:ザ・ギャザリング」を楽しんできたTCGグループ/ファンタジーカード同好会のオペレータとして活動。
長年のプレイ経験から、海外の大会にも参加した経験があり、GP参加のために頻繁に訪日をしていた。
「子供の頃から「マジック:ザ・ギャザリング」をプレイし、憧れたIPであるため、今回の『マジック:マナストライク』のプロジェクトは、特別な意味があり、負担やプレッシャーも大きかったが、日本を含む全世界の多くのプレイヤーにゲームを楽しんでいただきたい」と語る。