『BREAKERS』プロデューサー・アート統括・事業統括/日本支社長インタビュー
新作アニメーションRPG『BREAKERS : UNLOCK THE WORLD』が、2024年9月26日(木)から開催の「東京ゲームショウ2024(TGS2024)」に出展。
開発を手がけたVIC GAME STUDIOSのブースでは、プレイアブルキャラクター6体の中からキャラクターを選択し、3種の巨大ボスモンスターに挑戦できるプレイアブルスペースの設置や、来場プレゼントやゲーム試遊特典としてロングマウスパッドやうちわなどが配布されていました。
BoomAppGames編集部では、昨年に続き『BREAKERS』開発チームにインタビューを行う機会を得たので、TGS2023から1年が経過した現在、開発進捗状況や今後の展開などについて、誌面の許す限りご紹介いたします。
自己紹介
――BoomAppGamesと申します。昨年のTGS2023でも取材させていただきました。改めまして、お三方の自己紹介をいただけますでしょうか?
イ・ドンギョ氏:
株式会社VIC GAME STUDIOS JAPAN(ヴィックゲームスタジオジャパン)で、日本支社長として『BREAKERS』の事業統括を務めています、イ・ドンギョです。隣がプロデューサーのイ・ドンジュン、その隣がアート統括のハン・ソクジュンです。
――ありがとう御座います、本日はよろしくお願いいたします。
▲左からイ・ドンジュン氏、イ・ドンギョ氏、ハン・ソクジュン氏
アニメーションやストーリーの演出について
――昨年取材させていただいた際に、『BREAKERS』のこだわりとして日本のアニメや伝統的なRPGにインスパイアされているとうかがいました
ハン・ソクジュン氏:
我々自身も90年代の日本のアニメや漫画の影響を受けて育ちました。『BREAKERS』では、どこか懐かしさを感じるような、それでいて、普遍的な面白さをユーザーの皆さんと共感できるようなデザインや表現を意識しています。
▲トゥーンレンダリング技術でアニメのようなキャラクター感を実現
――TGS2024のトレーラーを拝見した時に、シオンの髪型がロングのポニーテールになっていましたね。これはハンさんのこだわりでしょうか?
ハン・ソクジュン氏:
そうです、そうです! 今年の夏はとても暑かったので…笑
――一同笑。従来のデザインでは見た目に反して物言いが少しキツかったり、活発なイメージがあって、(個人的にはそのギャップもよかったのですが…)現在のデザインでは見た目と雰囲気がストレートにマッチした印象です。
ハン・ソクジュン氏:
ありがとう御座います。キャラクターのデザインについては社内で意見を交わしながら随時アップデートしていますので、楽しみにしていてください。
▲魔法使い系のキャラクターながらスキルは近づいて爆発、必殺技は大きな火の玉を打ち込むダイナミックな動きで、ゆらゆら動くポニーテールにも注目
TGS2023から1年、現在の開発進捗は?
――TGS2023でに出展されてから1年が経ちました。当初のビジョンと比較して、現在の開発進捗はいかがですか?
イ・ドンジュン氏:
現在の進捗をパーセンテージでいうと、大体70%くらいですね。今年の11月までにシステム周りの開発を全て完了する予定です。そして、そこから量産段階に入る想定です。それらが完了するのは来年の9月頃になると思います。
――量産というと、ゲームの中のコンテンツボリュームを増やしていくイメージでしょうか?
イ・ドンギョ氏:
そうですね。コンテンツだけでなく、追加キャラクターも含め、今後ゲームのアップデートを行っていく上での様々な要素を詰めていく形になります。
――なるほど、ローンチに向けて着々と準備が進んでいると
イ・ドンギョ氏:
はい、開発の進捗に合わせて、FGT(フォーカスグループテスト)やCBT(クローズドβテスト)などを順次実施し、ブラッシュアップを行っていきます。
▲試遊では6体の中から3体のキャラクターを選択。バトル中は好きなタイミングにワンボタンで交代可能
数々のイベント出展、SNS上でのファンの反応は
――このTGS2024の他にも、各種イベントへ精力的に出展されていたと思いますが、イベントやSNS上での情報開示を通じて、プレイヤーの反応はいかがだったでしょうか?
イ・ドンジュン氏:
はい、SNS等のコメントを見ると、日本の方はもちろん、様々な国の方からも「期待しています!」といった応援コメントをいただいています。
――その他にはどのようなコメントがありましたか?
イ・ドンジュン氏:
そうですね。現段階では、具体的なシステムや仕様へのコメントよりも、「気になります!」「いつリリースされますか?」といった声が多く寄せられています。
大変励みになりますし、グローバルな視点で皆さまに気に入っていただけるよう、チーム一丸となって『BREAKERS』を作り上げていきたいと感じました。
▲シンプルな操作なので初心者でもすんなりとプレイ可能。ちょうどいいタイミングで回避するジャスト回避のような演出もあるので上級者でもやりごたえあり
こだわりのビジュアルとサウンドはどう進化したのか?
――グラフィックや音楽など、ビジュアルやサウンド面で特に改善された部分はありますか?
イ・ドンジュン氏:
昨年と比べて一番大きな違いといえば、通常のモンスターやボス以外に、プレイヤー同士で協力して挑むような巨大ボスが実装されたことですね。
加えて今回のTGS2024では、新しくデザインされたキャラクターもゲーム内で実際に操作できるようになりました。
▲今回の試遊でもプレイできた「エルカ」は、おどおどして恥ずかしがり屋な性格。小さな体で大きなハンマーを振り回す姿も可愛らしいが…
▲必殺技を使うと変身して鋭い目つきになり、翼が生えてハンマーは両手持ちにチェンジ。ギャップもさることながら、一定時間強化モードで戦えるので本試遊で個人的に使いやすかったキャラクター
イ・ドンジュン氏:
また、シオンのデザイン変更もそうですが、それ以外にも色々と調整と改善を行っています。
グラフィック表現で言うと、以前のバージョンよりも衣装や装備の質感の向上を図っています。具体的には、「鉄」や「皮」の表面の光沢表現をそれぞれ素材に適した形に見えるよう、演出しています。
――確かに解像度が高くなった印象です。以前も十分クオリティは高いと感じましたが、あくまでゲームのキャラクターを見ている感じでした。ですが今回のバージョンでは、アニメの中のキャラクターをそのまま動かしているようです。戦闘中の演出もアニメ的な演出が強化されており、メリハリを感じました。
ハン・ソクジュン氏:
そういっていただけると嬉しいですね!
▲ボスやフィールドは迫力満点の出来栄えで臨場感もマシマシ
ケレン味を増したドラマチックなバトル
――マルチプレイやオンライン要素に関して、今後追加予定の新機能はありますか?
イ・ドンジュン氏:
潜空艇からの支援攻撃、ウィーバーランサーにも新たなギミックや性能など様々なバリエーションを用意したいと考えています。強力なボスとの戦闘を有利に進めたり、クリア条件を満たすにはそれを活用する事が必要になってくるわけですね。
他にも、巨大ボスが攻撃をする時、マップの地形が変わって攻撃を回避できる場所ができるなど、戦闘エリアにも色々な仕掛けを追加していこうと思っています。
▲条件を達成するとカットインで潜空艇から槍を発射。ボスに大ダメージを与える演出はテンション↑
――今回は試遊版ということで、まだ調整中だと思いますが、意外と巨大ボスにやられている方がいたようです笑
イ・ドンギョ氏:
実は色々な意見をいただいてまして、アクションゲームに慣れている方だと優しすぎる、そうじゃない方にとっては難しすぎる、と両極端な話を聞けたのが印象的でした。
バランス調整やキャラ追加について
――ゲームプレイにおけるバランス調整や新しいキャラクターの追加はどのように進められていますか?
イ・ドンジュン氏:
まず、キャラクターの特性を理解した上で、どう戦えばいいのかを知っていただくことが大事ですね。そこを起点にすればバランス調整自体はスムーズに行えるのではないかと。ユーザーの皆さまにも、個々のキャラクターをしっかり知ってもらえるような仕組みを用意したいと思っています。
ちなみに、今回の試遊版での巨大ボスは中のちょっと上くらいの難易度ですね。
▲フィールドいっぱいに広がる攻撃などボスごとに多彩な攻撃パターン。ボス3体の中だとグラヴォルタスは空を飛んだり、広範囲に攻撃したりと大苦戦。
『BREAKERS』の世界に生きるキャラクターたち
――世界観やストーリー面で、重点的に作り込んでいるエピソードや展開はありますか?
イ・ドンジュン氏:
キャラクターの魅力をしっかり見せる。そのためのストーリーを作り込んでいますね。キャラクターが『BREAKERS』の世界に生きていたら、どのような行動をとるのが自然か?あるキャラクターのギャップ萌えポイントをストーリー上でどう反映するのが効果的か…?といった部分を重点的に作っています。
その過程で大事にしているのが、世界観や物語が複雑で難しくならないように、ライトで楽しみやすい、親しみやすいものを心掛けるという点です。
▲今回はボスバトルの試遊がメインだったのでストーリーに関しては昨年TGS2023のインタビューにて
コラボレーションやパートナーシップについて
――新たなコラボレーションやパートナーシップについて、具体的な進展があれば可能な範囲で教えてください。
イ・ドンギョ氏:
事業体制が整ってきて、裏では色々と企画が出ているのですが『BREAKERS』をただのゲームではなく、IP(知的財産)としてしっかり育てることを目標にしたいですね。漫画化、小説化、ゆくゆくはアニメ化など…。
――webコミックの話がSNSで進んでいると拝見しましたが、それ以外にもマルチメディア展開を考えているのですね
イ・ドンギョ氏:
具体的なことはまだ申し上げられないのですが、嬉しいことに各方面からご興味を持っていただいています。どのタイミングでどれから着手するのがベストか?色々とプランを練っている最中です。
ローカライズや海外展開について
――ゲームのローカライズや海外展開に関して、どのような計画がありますか?ビルドは全世界共通のものとなるのでしょうか?
イ・ドンジュン氏:
そうですね。弊社では基本的にグローバルビルドをベースに準備を進めていますね。色々な言語に対応したアプリをリリースしている会社なので、力を合わせてなるべく全世界同時リリースができるようにしたいと考えています。
――キャラクターのボイスは日本語のままですか?それとも各国の言語に対応したものを用意する予定でしょうか?
イ・ドンギョ氏:
各国とも日本語での提供を希望することが多いので、日本語ベースでいくと思うのですが、地域によっては日本語よりも他の言語の方が馴染み深い国もあると思うので、その場合はどうするのか話し合いながら進めていくと思います。基本的には、英語、日本語、韓国語など、5つくらいの言語は必要じゃないかと考えています。
今後1年の目標や課題について
――今後のリリース計画やイベント参加の予定について、プレイヤーに向けたメッセージをお願いします
イ・ドンギョ氏:
来年もTGSや、それ以外のグローバルイベントに参加する機会があると思いますが、現在は開発に集中しているフェーズです。
ユーザーの声や反応をうかがって、それを開発にフィードバックできるようなテストをやっていきたいですね。来年、年明けからはクローズドβテストなど、色々な形のテストを繰り返しやっていきたいと思います。
▲TGS2024の『BREAKERS』は白を基調としたブースで横長のディスプレイが特徴
――最後に開発チームとして、今後1年の目標や達成したい課題を教えてください
イ・ドンジュン氏:
プラン通りであれば来年の今頃はリリース間近で、最終調整の段階になっているはずです。ユーザーの皆さまのご意見をもとにゲームをしっかりレベルアップさせて、無事リリースできる形まで作り上げていくのが目標ですね!
――来年のリリースに向けて編集部一同も期待しています。どうか健康第一で頑張って下さい。本日はありがとうございました!
イ・ドンジュン氏:
一同笑 確かに健康第一ですね!必ず楽しいゲームに仕上げますので、皆さんぜひ期待していてください!
▲ブースでは潜空艇の乗組員をイメージした美女3名がうちわを配布
▲ブース正面に潜空艇のジオラマ展示も