リリース直前、開発スタッフインタビューを敢行!
究極アクションRPG『サムライ ライジング』。公式サイトやTwitterにて公開中の各種情報や先行レビューなどから、そのゲーム性の一端をうかがい知ることができますが、未だ全容はつかみ切れていません。数多のアクションRPGがリリースされながらも、スマートフォン環境下では肝心の“アクション”部分に物足りなさを感じた方も少なくないのではないでしょうか。
とはいえ、あまりに複雑な操作性ではプレイビリティに欠けるというもの……。はたして『サムライ ライジング』はその相反するユーザーの想いに応えてくれる作品となるのか?今回のインタビューはその核心に迫りたいと思います!
全ての始まりは“2年前”
――本日はお忙しい中ありがとうございます。まずはお二人のご担当をお聞かせいただけますか?
南里 耕平氏(以下、南里) 僕はポジション的にスクエニサイドのディレクターといった形ですかね。開発サイドが板橋さんで、僕が…なんて言ったらいいのかな。スクエニ側の品質、会社に対しての品質を保証する担当みたいな。
▲株式会社スクウェア・エニックス
第7ビジネス・ディビジョン ディレクター
南里 耕平氏
――全体の監修、ディレクションをされているといったところでしょうか。
南里 そうですね。板橋さんと連携しながら進めているといったところです。
板橋 伸和氏(以下、板橋) 私は開発側、開発会社のディレクター統括…みたいな感じなんですけれども、実はディレクターをやったのも10何年ぶりでビックリしました。
▲株式会社イルカアップス
執行役員・シニアプロデューサー
板橋 伸和氏
一同 (笑)
――それはどういった意味で驚かれたのでしょう? 不躾ながらその、ブランクというか時間的に久しぶりだったということなのでしょうか?
板橋 そうですね、僕は企画職からディレクターになって、プロデューサーになったみたいな。ジョブチェンジを繰り返してきた人間なんですね。このプロジェクトが始まったところから話させていただくと……。
このプロジェクトの統括をされている方とお会いする機会がありまして、ちょうど2年前ぐらいだと思います。その時「なんか一緒にゲーム作らせてくださいよ」と軽いノリで話をしたら、「いいよ」「えーっ!?」みたいなとこから始まって。
ただその方が「やるんならキミがディレクターやってくれないとイヤだけど…多分、やんないでしょ?だから無理。」っていう感じで。
一同 (笑)
板橋 「じゃあディレクターやります!」っていう話になって……
――それ、選択肢がひとつしか表示されてないですよね(笑)
板橋 はい(笑)
想定の範囲内?『サムライ ライジング』に対するユーザーの反応
――我々も本タイトルの情報が少しずつ開示されていくにあたって、掲示板やTwitterでの反応を見てはいるのですが、「またキャラガチャか」「また武器ガチャか」と……
南里&板橋 (笑)
――実際、御社から見えているユーザー様の反応について、どんなところが際立っていると思われますか?またそれをどのように受け止められているのでしょう。
南里 なんというか、当然お見せしている情報が限られているからなんですけれど、「ジョブチェンジできる?」とか「武器ガチャあるの?」というところが一番大きいのかな…と思っていますね。
――やはりキービジュアル…あれを見ると「おっ」と思ってしまいますよね。
▲本作のキービジュアル。確かにどこかお馴染みのジョブが見受けられる。
南里 うーむ(苦笑)どうでしょうか。何が原因かと言われると…なんか『ファイナルファンタジー(以下、FF)』っぽいからですからね?
板橋 やはりFFの「エキス」がにじみ出ているからじゃないですかね。
――ティザーサイトで公開されているジョブだけでも11職ですからね。初見で私も「ジョブチェンジシステムは有るだろうな」と思いました。アクションRPGの場合、だいたい3〜4職でパワー型、スピード型、バランス型、特殊型みたいな区分が多いと思うんですよ。
南里 なるほど。
――おそらくジョブチェンジでスキルの付け替え程度かな…と思っていたら、ジョブ紹介動画を見て「!?」となりました。いきなり11職、しかも個別のアクション要素とパーソナリティがあるなんて……実際先行レビューの際にプレイさせていただきましたが、ユーザーの皆様も驚くのではないかと。
南里 そうなると嬉しいですね。僕らは内心ドキドキですけれど(笑)
――お二人から見て「本当はこう伝えたい・伝えたかった」。もしくは「想定していた反応とのギャップ」みたいなものはありますか?「本当はこういう風に映るはずだった」といった。
板橋 いや僕は、今出ている情報からするとそう思うだろうし、自分もそう思っているだろうな、と思います。現状のユーザー様の反応は至極真っ当なんじゃないかなと思いますね。
で、多分そこから想像するに、こんなシステムなんだろうなぁって、今あるF2P※2のゲームの基本になっていると思うので、まぁ無理なしかなと。
※2 エフツーピー。Free To Play, Free 2 Play(フリートゥプレイ)の略。プレイ料金無料の提供形態をとるゲームを指す。
――つまり、蓋を開けてみたらビックリ…というような期待をしても良いのでしょうか?
南里&板橋 ですね(笑)そうなっていただけると嬉しいです。
板橋 ただその、現時点で「こうなるだろう」と考えていただいている方が、「望んでいたものはこれじゃなかった」とならないだろうか。というのは不安といえば不安ですね。
自ら“カッコイイ”と思えるアクションを演出する
――確かに現時点での情報から判断して、既存の類似性のあるアクションRPGと同じものを期待されている方は少なからずいらっしゃるかもしれませんね。ただ、個人的には「いい意味でまったく違うな」と。
南里 ほう…
――先行レビューを行わせていただいた際、弊社のライター陣もポジティブに「既存のスマホ向けアクションRPGとは違う」という反応を示しました。これは「触ってみて初めてわかるんじゃないかな」と思います。
南里 無論幅広い層に向けてチューニングは行っていますが、ハマるユーザー層は確かにこれまでとは異なるような気がします。
――そうですね。各ジョブを操作してみて感じましたが、「ある程度戦力が整えば、必殺技の連発でどうにかなる」といったタイプではなかったです。各ジョブの特性とアクションがしっかり際立っていて、一方でモンスターも単なる「的(まと)」じゃないというか。しっかりアクションしてるんですよね。だから意外と気が抜けない(笑)
▲第一弾PVより、「龍騎士」と「白魔道士」。現在公開されているジョブは11種だ。
――じゃあ、単に難易度が高いのか、というとそうでもなくて。例えば「盗賊」とかだと連続攻撃を決めた後の着地点が若干敵に対して離れてるんですよ。戦闘エリアも広めなので、回避行動と組み合わせればヒットアンドアウェイを多用するアクションが出来たりと。なんというか、「今の自分、すごくカッコよくなかった?」って言えるんです。
板橋 なんかすごいやりこんでますね(笑)
一同 (爆笑)
――「スタミナや行動ポイントが無い」ですし、たとえ全滅してもペナルティは無いので、各マップの敵の性質や構成を覚えてから、もう一回トライするというのもありですね。いわゆるハックアンドスラッシュ※3と近い感覚で。
※3 RPGの1ジャンルとして「敵と戦うことによるキャラクターの成長に重点をおいたRPG」と表現されることがあるが、ここでは「敵と戦うことに試行錯誤を要するRPG」として解釈している。
南里 そうですね。今のF2Pの良いところって「とりあえず触ってもらえる」ところだとは思うので、そうしたアクションの部分はぜひ色々試して欲しいですね。
『サムライ ライジング』を開発するに至った経緯
――『サムライ ライジング』が、このような形のゲームになるに至った経緯をお聞かせいただければと。最初に公開された「謎のムービー」を拝見した時、「いつものやつかな?」と思いました。そう、途中までは。ですが最後にあのロゴが出た瞬間…一瞬自分の中に間があったんですね。「これは…なんだろう?」と。
私の世代的に、御社はアクションRPGを多く手がけている印象があったので、侍、武士といえば「武蔵伝」※4、もしくは「ブシドーブレード」※5が復活するんじゃないかと震えました(笑)
※4 『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』は1998年7月16日にスクウェアより発売されたプレイステーション用アクションRPG。
※5 『ブシドーブレード』は1997年3月14日にスクウェアより発売されたプレイステーション用対戦型格闘ゲーム。
板橋 いい線いってますね(笑)
▲輝くリング、クリスタル…からの「Project:RISING」。だが最後に現れたのは…?
――今の世代のユーザーは御社のタイトルというと重厚なストーリーのターン制RPGや、ビジュアルを重視したキャラクターが多く活躍するイメージがあるのかもしれませんが、私の中では先に挙げた2タイトルはもちろん、シューティングやアクション、対戦格闘ゲームなど、常に新しいシステムを搭載して挑戦的なタイトルを送り出してきたメーカー様といった印象があるんです。
だから、今回のゲームの実際の内容を見たときに、「なるほどこう来たか」と、それほどギャップがなかったんですね。
板橋 結構持ち上げてもらって恐縮なんですけど(笑)
――いえいえ(笑)ただ、スマートフォン環境下では、どちらかというとシンプルな操作性のものが多かったので、ガッツリ楽しめるアクションRPGを作ろうというのは、挑戦的な部分もあったかと思います。今回企画・開発にあたっての経緯というのはどのようなものだったのでしょうか。
板橋 実はですね、僕がこの企画書を書いた時、一番やりたかったのって、「ウィザードリィ」とか「ディアブロ」、「トーチライト」とか、僕の好きな「ザナドゥ」※6。あの辺りのゲームだったんですよ。僕すごい年寄りなんですよね(笑)
※6 いずれも名作と謳われるRPGの古典とも言える作品。ちなみに「ザナドゥ」がPC用アクションRPGととして日本ファルコムより発売されたのは、1985年11月。現在から30年あまり前である。
板橋 そういった部分で、ハクスラ的なあの「神の一本を手に入れた時の気持ち良さ」っていうのを実現したいね、っていうのがあって。その中で「じゃあハクスラで行こうか」って企画書が出来たんですけれども、いろいろストーリーを上の方に相談しても、「あ、ダメだね。これダメだね」っていうのが2〜3ヶ月続いてですね。今風じゃないとか(笑)
一同 (笑)
板橋 僕の中で「ハクスラ」って、アクションゲームみたいに色々動くけれども。回避や、モンスターからの反応っていうのがほとんどないゲームと考えていたんです。だから、「アクションゲームとしての気持ちいい挙動・うっとうしいだけの挙動ってなんだろう」と分解していって、それをハクスラの方に落としこんで…ていう手法で組み立てて、今の形になったんです。そういう意味では、最初から「アクション作るぜ!ライバル◯◯◯◯」みたいな、なんかそんな感じではなかったですね。
――最初にどちらかというと、本当に…往年のと言ったらあれですけど、RPGの原点的なところ、アイテムをいかに獲得して、キャラクターを成長させて、そのためのパターンというか、敵の挙動を見抜く、覚えていくというところ。そういった掘り進めていくところのエッセンスを現代風に消化したっていうイメージですね。
板橋 うまくまとめてくれましたね(笑)その通りです。
――ソーシャル性のあるゲームは「強いキャラ・装備品を手に入れました」という時点でまず満足感を得られますよね。それを周囲に誇示することで、さらに充足感を得られるのも特徴かと。ただ、先ほどから挙がっているハックアンドスラッシュは、その作品を作った造物主、またはゲームマスターに対して「その想像の上を行ってやろう」という挑戦ができる。攻略感が強いように思うんです。
今回この『サムライ ライジング』にはマルチプレイもありますし、ソーシャル性を保ちつつ、そうした挑戦ができるんじゃないかと……個人的に非常に楽しみです。
南里 アクションRPGという意味でいうとウチでもいくつかありますが、ここまでテクニックを要求するものはなかったんじゃないかと思います。楽しみにしていただければ幸いですね。
なぜ“サムライ”なのか
――話は変わりますが、このタイトル名……“サムライ”はどこから出てきたのでしょうか?
板橋 あ、それは知らないですね(笑)
南里 言ってしまうと若干後付け感はあるんですが…(笑)ゲームが出来上がった時に「タイトルなんにしようか」という流れになって。雰囲気だけで選ぶこともできたと思うんですけど、記憶に残らないとそもそも意味がないかなと思っていて、それでいうと“サムライ”っていう響き自体が、特に日本人にはメジャーというか。
あまりスマホゲームでは使われていないワードでしたし、まずはそこありきで考えて、あとはイメージの近しい単語を見つけよう。というイメージで考えていったんです。
――なるほど…たしかに記憶には残りますね。
南里 そうですね、やはり「チョイださ」というか。でも分かり易いじゃないですか、“サムライ”は。でも確実に記憶のどこかに残るというか、忘れないものだとは思うので。
「ああ、あの“サムライ”のやつ」っていう(笑)
――するとストーリー上、“サムライ”はどのような立ち位置になるんでしょうか?『サムライ ライジング』とある以上、やはり「サムライがライジングする」のかなと。
一同 (笑)
南里 そこは(笑)あまり意識していないというか、ある意味入口かなと思っているので、そこまでリンクしているとはあまり思っていないですね。単純に和風=サムライみたいな。
――日本=ニンジャみたいな。ある種記号のようなものですかね。
南里 そういうレベルですね。あくまでそこは入口なんです。何もイメージが無い状態よりは、何かしら近しいイメージを持って入っていただいて、ただ、入った先は純粋な和風ではないので。その違いを楽しんでもらったり、アレンジを発見してもらうぐらいの、きっかけという感じですね。プレイしていただくと、ちょこちょこ「これ和風なのかなぁ」と思うこともあるんですけれど(笑)
――若干ありますね。ただ紅葉とか桜が綺麗なステージもありました。あのあたりは結構和テイストだったりするので、なんとなくしっくりきました。
板橋 実は開発中、『サムライ ライジング』のタイトル名がつく前は、『サムライ オリエント』という名前になってて。いわゆる和の中に東洋、アジアを含めて混ぜこぜになった「僕らの知らない日本」みたいなのを作ってみよう、というのはありました。
――あぁ、それはなんとなくわかります!特に最初に出てくる繁華街というか台湾の夜市みたいな街並みとかって、「どこか日本っぽいけど、日本じゃ実際にこういうのは無いよな」っていう気がして。その辺はうまくアジアンテイストというか、「みんな見たことないけど、なんとなくそうなんじゃないか」と思ってる世界の雰囲気がよく出ていると感じました。
ロゴに舞う“黄色い蝶”とゲーム内の意匠
――デザインつながりなのですが…あの“蝶”には何か意味があるのでしょうか?
南里 (笑)
板橋 あれは何なんでしょうかねぇ…
▲確かにロゴ、ゲーム内に“蝶”の意匠が見て取れる。ナライの服もロゴの蝶と同じ色だが…。
――ロゴのところにも“黄色い蝶”がこう、フワフワと舞ってますし、ゲーム内のUIにも蝶の意匠があるので…しかもナライ君の服、黄色いですよね?これってもしかして……?
南里 (爆笑)
板橋 これは作らなきゃダメじゃないですかね!ストーリーを(笑)
南里 UIの方については諸々経緯があるんですよ。実はまだ僕らがやりたいことが100パーセント出来ているわけではなくって、その名残というか。「まだ出せていない本気の部分」があそこに隠されている……ということにしておいていただければと。
――わかりました(笑)これは後のお楽しみ、ということで今は保留にしておきましょう。
板橋 ちなみにそうした小ネタ的なところでいうと、登場するキャラクターの中に、「跳べない龍騎士の女の子」がいます。
▲板橋氏イチオシのキャラクター。龍騎士のアイデンティティは保たれているのだろうか…?
南里 ああ、あのいつも何か食べてるぽっちゃり系の…ボイスでもモグモグしてたよね。
板橋 あまり極端なキャラ付けはあえてしていないんですけれど、ボイスだったり外見だったりで、キャラクター性をうかがえるような部分をこっそり忍ばせてあるんですよ(笑)
――気になりますね(笑)ちなみにオススメ、お気に入りのジョブなんてありますか?
南里 うーん…僕は物防アップさせて魔法で戦う「赤魔道士」が大安定ですね。
――なるほど…実は他の方にもさりげなく聞いてるんですよ。ある方は「武士」と言いますし、ある方は「陰陽士」と。弊社のライター内でも意見が割れてます。
板橋 選択肢の多さも特徴のひとつといったところですね(笑)
究極アクションRPG。その“究極”の意味するところ
――“究極”と謳う限りは「どこか、尖ったところがある」のではないか。それを先ほどの板橋様からのお話から感じたのですが、具体的にいうと、どのあたりが究極なのでしょう?
板橋 “究極”とつけたのは僕ではありませんよ(笑)
南里 (笑)なにが“究極”かというのは置いておいて、今、スマートフォンでゲームを遊んでいるユーザーさんって、「二極化」が進んでいるのかなという気がしているんです。今まで通り、手軽に遊べるものと、ガッツリ遊べるものという感じで。
で、僕らって、どちらかというと重いものを作ってきた人間なので、そのコア層というか、ガッツリ遊べるものを期待しているお客さんに対して、スマートフォンという土俵で、遊びやすさを損なわない限界ギリギリを目指して、ニーズに応えようと作っている。そういう意味での“究極”はあるのかなと思っています。
――確かに操作性が複雑で、コンシューマに近いといった部分を強調したゲームは、そのうち出てくるのかもしれないし、それもひとつの選択肢かなと思いながらも、最新端末でないと動作しないとか、パッと気が向いたときに遊べないとか、ユーザーに負担を強いるようなものはちょっと…。
そういう意味では、『サムライ ライジング』の“究極”の基準は、「ユーザーがスマートフォンで楽しめる、楽しいと思える範囲でのアクションの限界」に挑戦しているというわけですね。
南里 それです!(笑)
板橋 ちなみに、かつて僕が最初に書いた企画書にですね…「本格スラッシュアクションRPG」って書いてありますね。ちょっとテイストが似てませんか?
南里 あれ、無意識でしたけど、パクりました?もしかして(笑)
板橋 「本格とは?」とか、コンセプト解釈とか、ガッツリ書いたんですけど(笑)
――ガッツリ書いてますね。その資料、ちょっと見せていただけませんか(笑)
板橋 ちなみにそのテーマというか、こだわりの部分では「移動・攻撃・防御・回避がプレイヤーの思い通りにできる」っていうのが最下限でしょ。っていうのがあって、その時点でもう組み立てができてたのかなぁと思うんですよね。
加えて、このゲームって意外とプレイヤースキルが求められるところがあるので、そういった「操作の上達」みたいなのがゲームの中でしっかり体感できて、自ら壁を乗り越えていくというところが“究極”ってことなのかなって思いますね。
――“究極”を自ら目指すアクションRPGということですね。確かにプレイしていて思いました。各ジョブの特性と、キャラクター、武器のリーチを頭に入れながら、敵のパターンを覚えて…。
「ここはこうすればノーダメージでいけるな」とか。そういう成長してる感があって「いずれ俺は究極になるな」って(笑)
板橋 ただ、その部分がゲームバランスを考える上ですごく困っちゃって…いつの間にかスタッフの腕が上達してしまって、「これほんとにHARDなの?」とか。
――そこまで行ってしまいますか(笑)
一同 (笑)
――今回、キャラメイクが思いのほかボリューミーというか、最初はもっとシンプルかなと思ってたんですね。武器だけしか変更できないのかな?と思ったら、実際には装飾品も含めると6種、かつアビリティの継承システムがあるので、同じキャラクターを使っていても、育成と装備品の獲得によって全然違うキャラに育てられる。
当然装備品は付け替えられるので、このクエストはこのコーディネートで。あのクエストに挑む時はこっちにしようとか、本当にRPGしてるなぁ…という感覚がありました。実際にプレイしてみると「キャラクターは重要だけれども、これはRPGだな」と皆さん感じるんじゃないかと思いますね。
ここがスゴイぞ!『サムライ ライジング』
――アクション然り、育成然り、色々とユニークポイントがあると思いますが、その中であえて推すとしたらどういった部分になるのでしょうか?
南里 イメージとしては、僕はMORPG※7をベースとして考えているので、もちろんシングルプレイがありつつですけど。そのMOとかオンラインRPGの目線に立った時に必要な要素が「マルチプレイした時に、マッチングしやすい」とか「気持ちよくみんなが遊べる」というところがあって、ではそこで「友達としか遊べない」っていうのは厳しいよね。ちゃんと野良でマッチできるように考えなきゃね。とか。
あとはゲームの中でコミュニケーションって取れた方が楽しいよね。ということでスタンプを入れてみたりというのはあるので、そういう意味でいうと、「よりオンラインRPGっぽい要素を手軽に遊べるようにしました」というところは、PRポイントではあるかなと。
※7 Multiplayer Online Role-Playing Gameの略。直訳すれば、複数プレイヤー参加型オンラインRPG。
▲マルチプレイで何かと有効なのがスタンプ。種類も豊富なので、うまく活用しよう。
――確かにマルチプレイでは、1チーム1プレイヤーが3人のキャラクターを連れて、最大4チームで出撃可能ですからね。1クエストの中で、12キャラクターを操作できると考えると、かなりのボリューム、試行錯誤の余裕があると思います。いわゆる「ロールの押し付け合い」が起きにくい。
足を引っ張るんじゃないか、迷惑をかけるんじゃないか、とかそういった気兼ねをしないで、ちゃんとしたアクションRPGとしての役割分担を楽しめるというのは結構大きいですね。
――遊んでもらいたい世代、年齢層はどのあたりをイメージされているのでしょう?学生や社会人だったりとか。
南里 どうでしょう…逆にそれがないというか。頑張ってそこを絞らないで楽しめるようには考えてきたつもりかなと思っていますけど。板橋さんみたいな、ハックアンドスラッシュタイプのゲームを今まで遊んでこられたプレイヤーさんとか、今までそのジャンルを知らなかったというお客さんでも「新しいもの」。
僕らからするとハクスラを噛み砕いたものではあるんですけど、知らないで入ってきたお客さんが新しいものとして受け取ってくれる。そういう「世代を超えた共通のもの」として遊べるゲーム。そういう感じにはなっているんじゃないかな…と。
誰しも気になる「エンドコンテンツ構想」
――おそらくリリースされた直後はストーリーをなぞりつつ、ソロプレイからマルチプレイへ挑戦して、段階を踏んでゲームをやりこんでいくというステップがあると思うのですが。やはりユーザーの皆さまが気にする部分は、「このゲームを突き詰めていくと最終的にどんな楽しみが待っているのか」というところだと思うのではないかと。現時点で「こんなのできたらいいな、やろうかな」といった差し障りのない範囲で、どのようなエンドコンテンツを用意されているかうかがえればと思うのですが。
板橋 やるやらないはさておきなんですけど、僕個人の中での「このゲームの組み立て」って、先ほど言ったように「ディアブロ」「トーチライト」のような欧米で受けてるハックアンドスラッシュを日本風で、しかも今風のスマートフォンで遊べる文法で仕上げたっていうところがあるので。
これは、今の市場に向けて僕らがやったことは間違いではないと思うのですが、それは置いといて。いわゆる「ディアブロ」みたいに「ドーンとあるダンジョンをどこまで潜っていけるか、ギリギリまでやってその武器を持って帰ってこられるか?」みたいな。そんなのがあったらいいなと思いますけどね。
南里 そうですね。
板橋 そうですねって言われましたね(笑)
――他人事ですねぇ(笑)
南里 いやいやいや!それもう1本ゲーム作るぐらいの(笑)
――でも確かに、某ライトノベルでも、塔の中をひたすら進んでいって、塔のある一定のところでセーブポイントがあって、街があって、コミュニティがあって…「あの階層をクリアしたやつがいるらしいぜ」みたいな話が出たりとか。オンラインRPGのエンドコンテンツとしては王道ですよね…できたらいいですね(笑)
南里 “最強”ですね(笑)
板橋 “究極”ですね(笑)
一同 (笑)
――やはりその「どこまで制覇しました」的な。例えば、ランキングと単純に言ってしまうと「お金が」「時間が」って言えてしまうと思うんですね。ただ、このぐらいアクション性があって、かつ試行錯誤ができるゲームの中で、そこまで先に進む事ができたっていう、称号みたいなものって結構大きいんじゃないかと。「あのユーザーは地下○階まで制覇している、そこから生還したのはわずか数名」みたいな。
そういう風な称号がこのコミュ二ティの中で共有される。すると「このユーザーはすごい」と、で、装備品とかをみても「あれ?そんなにたいしたことないぞ」。じゃ「どうやってクリアしたんだ?」っていうような、そういう攻略要素とかを皆が想像してくれると、楽しいかもしれませんね。
板橋 そうですね…それこそ究極の、神秘度の高い武器を手に入れたっていうのも1つの称号ではあるものの、このゲームでいうアクション、手先の器用さの上達によって先へ進んだというのも、称号の1つであると思うので。そういった、人それぞれで目指すべき目標の多様性を、『サムライ ライジング』は持っているんじゃないかと思いますね。
これから『サムライ ライジング』をプレイする皆さんへ
――最後にメッセージというか、これから『サムライ ライジング』に触れるであろうユーザーの皆さまにメッセージをお願いいたします。
南里 そうですね…とりあえず試していただいて、合うようだったら続けていただければ嬉しいなって(笑)僕らも結構、人生の何分の1かをつぎ込んで作っているので、面白いと思っていただければ嬉しいなと。純粋にそこだけです。
板橋 僕は今、多分みなさん想像して書いていただいていると思うんですよね。掲示板とか色々と。多分それを裏切ることになってすいませんという気持ちです(笑)
一同 (笑)
南里 皆さんの期待以上のものにできると…いいなって(笑)
――きっといい意味で裏切ることになるのではないかと思います!本日はありがとうございました。
(2016年5月某日インタビュー)
いかがでしたでしょうか。プレイヤー自らが目指す“究極”。そして作り手側から提供されたゲーム性と遊びやすさの“究極”。ゲームで育ち、ゲームを愛してきたスタッフが送りだした本作だからこそ、その言葉に重みがあるように感じます。
インタビューを行いつつ、筆者もふつふつとゲーマーとしての血が騒ぎだしました!配信日は2016年6月2日と正式に発表がなされ、よりストーリー性を感じさせる最新トレーラーも公開中です。映像内の「自分だけの“体験(RPG)”」というフレーズのとおり、ぜひ自分自身でその魅力を確かめてみることをオススメいたします!