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陰から生まれたヴァジュラは悟空以上に我儘で、気に入った相手はすぐに子分にしようとします。でも陰だから悪いという訳ではないのです。彼女は寂しそうな者を放っておけず、誰よりも仲間思いなのでした。その名前も、自身を拾ってくれたヴァジュラングバリー、ハヌマーンと沢山の名前を持つ猿神様から拝借したものなのです。

私と私が揃うなんて本当はあり得ないこと。こんな夏の夜の夢でない限り。でもねシンデレラ、覚えておいて。どちらかしかいなくても私は他の誰よりもあなたを大切に思っている。だってこの想いは一人で常に二人分なのだから。そして世界で一番あなたを愛しているのも「私たち」。ほらね、誰も勝てないでしょ。

劫魔節が永劫の終わりを迎えても、リュドミラに気の休まる暇はない。若き団長のサポート、劫魔節の混乱に乗じて悪事を働く輩の盗伐、残存する魔物の殲滅…。次々発生する問題に心労は尽きないが、充実した日々は彼女の望むところでもあった。とはいえ、時には立ち止まって休むことも重要。向上心の塊であるリュドミラだからこそ、休める時に休むことの重要性はよく理解している。自分の限界を超えたところで、壊れてしまっては意味がない。今の限界を超え、よく休み、新たな限界をさらに超える。それを繰り返すことが本当の修行だ。明日からまた自分の役目を全うするためにも、明日の自分が今日の自分を超えるためにも、今日は全身全霊で息抜きしなければ。

彼女は知っている。敵が強大なとき、剣が折れ、仲間が倒れ、希望の最後の火が尽きようとしているとき、何が最後に心の支えになるのかを。絶望的な状況においてなお人を奮い立たせるもの、それは誇りだ。古より世界を劫魔の手から守ってきた、人類最強の騎士団の一員であるという自負。だからこそ彼女は立つ。その背中で、全ての者に示し続けるために。赤竜の炎は、決して消えることはないのだと。