【FGO特集】ルーラー「ジャンヌ・ダルク」の元ネタを紹介!フランスの国民的ヒロイン「オルレアンの乙女」は悲劇の道をたどる男装女子?

『Fate/Grand Order(FGO)』に登場するサーヴァント達の特集!今回は、ルーラー「ジャンヌ・ダルク」をご紹介します。「オルレアンの乙女」として知られる英雄は、どのような生涯を送ったのでしょうか。

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posted by yabuki at 2016/04/17 10:00

オルレアンの乙女「ジャンヌ・ダルク」

"ジャンヌ・ダルク"……この名前を聞いたことがない人はいないでしょう。14世紀にフランスとイングランドの間で勃発した「百年戦争」にて活躍した少女です。
フランスの国民的ヒロインとして親しまれている彼女は、別名「オルレアンの乙女」(※1)とも呼ばれ、カトリック教会では聖人認定をされています。

Fateシリーズでサーヴァントとして登場したのは、石田あきら氏によるコミカライズが発表(※2)された、東出祐一郎氏著書「Fate/Apocrypha」が初出。それ以外にも、彼女を題材をした漫画や小説、ゲームなどは多岐に渡り、歴史の授業で習った覚えがなくても、至る所で目にする名前だと思います。

ということで、今回は『Fate/Grand Order(FGO)』で、ルーラーのサーヴァントとして登場する「ジャンヌ・ダルク(以下、ジャンヌ)」の元ネタをご紹介!
まず初めに、彼女が活躍した時代「百年戦争」とは何ぞやというところから解説したいと思います。
※1:ジャンヌが一番初めに戦闘にて活躍した地「オルレアン」が由来。
※2:2016年4月15日(金)発売のTYPE-MOONエースvol.11にて発表。

この記事には『FGO』のネタバレが含まれます。

ジャンヌ・ダルクの生涯

百年戦争とは

百年戦争といっても、銀河を二分する戦いやら、最低野郎たちが二足歩行のロボット兵器で戦う某アニメとは全く関係ありません。フランス王国とイングランド王国にて、なんと116年もの間続けられた戦争です。とは言っても、その間ずっと戦いっぱなしだったわけではなく、ちょくちょく休戦状態はあったらしいですが。
ちなみに、この戦いにより現在のフランスとイギリスの国境線が決定しました。
そう思うと、今の世の中は過去の歴史の延長線上にあるんだなあと今更ながら思ってしまいます。

閑話休題。
1337年に勃発したこの戦争は、王位をめぐるフランス国内の混乱に乗じて、イングランド王がフランス王位継承権に介入しようとしたことが発端でした。
その頃のフランスは、王位継承争いで2つの勢力に分かれて対立しており、安定しない国政でした。そこをイングランドに狙われた形になります。

最終的に、フランス側の勝利でこの戦争は終結しますが、終始優勢だったわけではなく、劣勢と言ってもいいくらいイングランド側の勢力が圧倒していました。
その優劣を覆す転機となったのが、お待たせしました、ジャンヌの活躍と言われています。

ジャンヌ・ダルク誕生

産まれた場所は『FGO』の第一特異点のスタート地点である「ドンレミ」。ジャンヌはここで、 1412年に農夫の娘として誕生。

信仰深いジャンヌは12~13歳の時、聖ミカエルと聖人たちの姿を幻視し、「神の声」を聴きました。その内容は要約すると「フランスを救え」「イングランドからフランス領を奪還せよ」といったニュアンスのものだったようですが、ここから英雄としての道、そして非業の死を迎えることになる、悲劇の運命が決まってしまったのかもしれません。

フランス軍に従軍

ジャンヌは神の声に従い、フランス軍に参加しようとしました。
しかし、その当時16歳の、ましてや少女が軍に参加するなんて並大抵のことではありません。一度は断られますが、ジャンヌに力を貸す貴族や、ジャンヌ自身の予言により、紆余曲折を経て時のフランス王太子シャルルの信頼を勝ち取るまでになりました。
※ある地方の戦いでフランス軍が敗北するという結果。

英雄としての活躍

フランス軍に参加したジャンヌは、瞬く間に頭角をあらわしていきます。
イングランド軍に包囲されて陥落寸前だったオルレアンへと派遣されると、最前線に軍旗を持って突撃。首に傷を負っても指揮をとる彼女の姿に兵達は鼓舞され、オルレアン市からイングランド軍を追い払うことに成功します。
実はこの戦いにサーヴァントとして実装されている人物が一人います。それは、「ジル・ド・レェ」です。『FGO』ではこの戦いの時がセイバークラスのジル、いわゆる綺麗な旦那なのでしょう。

閑話休題。
この勝利をきかっけに、劣勢だったフランスは巻き返しを図り、敵の支配下にあった土地を次々に取り返しました。ジャンヌの上官は、彼女の指揮能力を高く評価し、立案する作戦を全て承認するなど、彼女の人気、評価は留まることを知りません。

それらの活躍により、王太子シャルルは「シャルル七世」として、正式にフランス王位の正当性を主張することができるようになりました。
しかし、ジャンヌが行った英雄的な行為が、皮肉にも彼女を死の淵へ追いやっていくのです。ここからジャンヌを襲う悲劇へのカウントダウンが始まります。

異端者として捕らえられ処刑

シャルル七世は、まずフランス国内でイングランドの味方をする派閥を味方につけようとしました。しかし、ジャンヌを含む戦争で白黒つけようとする勢力は、その派閥へ無理に戦いを挑みます。
その結果、ジャンヌは戦いに敗れ捕虜になってしまいます。当時、捕虜を開放するためには、捕虜の身内が身代金を支払って、身柄の引渡しを要求するのが普通でした。しかし、シャルル七世は戦争で決着をつけようとする勢力は邪魔だったのでしょう(※1)。身代金を支払わず、ジャンヌはイングランドへと移送されてしまいます。

フランスの英雄ジャンヌは、イングランドにとって憎き敵そのものです。
ジャンヌを戦場や獄中での男装(※2)を理由に、宗教裁判にかけます。
結論ありきの度重なる裁判の末、ジャンヌは悪魔と通じる魔女として決めつけられ、1431年5月30日、ルーアンで火刑に処され19年の短い生涯を閉じました。

しかし、百年戦争が終結したジャンヌの死後25年、裁判のやり直しが行われ魔女の烙印を取り下げられ復権し、1920年には聖人として認められました。
※1:諸説あります。
※2:当時の聖書の解釈では、女性は男装をしてはいけないとされていた。

Fateシリーズでは

Fate/Apocrypha

聖杯戦争は、本来7人のマスターと、彼らと契約した7騎のサーヴァントが聖杯を手に入れるために争う戦争です。
しかし、Apocryphaの舞台では、総計14人のマスターと14騎のサーヴァントによる例外的な聖杯戦争、言うなれば「聖杯大戦」が執り行われることになりました。
そのようなイレギュラーな事態の時、中立のサーヴァントとして召喚されるのが"ルーラー"。そして、Apocryphaで"ルーラー"として召喚されたのが、彼女"ジャンヌ・ダルク"となります。

やがて聖杯大戦の裏に存在する陰謀に気づき、戦いに身を委ねていきます。ちなみに、『FGO』でも実装済みの「アストルフォ」とは、ある人物を巡る恋のライバルの関係になっています。ジャンヌは女性ですので、相手の性別は男性です。しかし、アストルフォは……?

Fate/Zero

実は「Fate/zero」にも一瞬だけ回想に登場しています。
第四次聖杯戦争のキャスター「ジル・ド・レェ」は、セイバーとして召喚された「アルトリア・ペンドラゴン」とジャンヌの見分けがつかなかったようで、アルトリアを"ジャンヌジャンヌ"とつけ狙いました。

見分けがつかないのも無理はありません。ジャンヌのキャラデザは、アルトリア顔が大好きな「Fate/stay night」のイラストレーター武内崇氏ですから。

オルレアン包囲戦の時は、まだ英雄としての騎士ジルでしたが、ジャンヌが処刑されてから、青髭と呼ばれるキャスタークラスで召喚されたジルとなったのでしょう。

Fate/Grand Order

『Fate/Grand Order』では、リリース当初からストーリー召喚に実装されていた初期サーヴァントの1騎です。サーヴァント随一の高いHPと宝具による補助、そしてルーラー特性である大半のクラスから被ダメージ半減と高い評価を受け、現在でもその地位を守り通しています。

メインストーリーでは、「第一特異点邪竜百年戦争 オルレアン」で主人公と行動を共にするサーヴァントとして登場しました。
この章では、敵側にフランスへの復讐を誓ったジャンヌの負の部分、「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕(以下、ジャンヌオルタ)」が出現しており、思想や姿から"白ジャンヌvs黒ジャンヌ"の戦いと言われていました。

「邪竜百年戦争 オルレアン」でのジャンヌオルタはルーラーのクラスでしたが、2016年4月11日(月)から開催された「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕ピックアップ召喚」では、アヴェンジャークラスで追加。
防御型ルーラーのジャンヌから一転、ジャンヌオルタはサーヴァント随一のATKを誇る、超攻撃型のサーヴァントとして実装されました。
アヴェンジャーは、ルーラーへ大ダメージを与えられる数少ないクラスです。憎き白ジャンヌを倒すために、わざわざクラスを変えたのでしょうか。

とはいっても、生前に無実の罪で魔女として処刑された事実を考えると、ルーラーよりもアヴェンジャー(復讐者)のクラスが、1騎目のアヴェンジャー・巌窟王よりも適切だと思ってしまいます。

Fate/Grand Order詳細情報

価格 無料
メーカー TYPE-MOON
ジャンル ロールプレイング
©TYPE-MOON / FGO PROJECT