「天魔御伽草子 鬼ヶ島」登場サーヴァント
『Fate/Grand Order(FGO)』にて、7月11日(月)より開催予定の「天魔御伽草子 鬼ヶ島」イベントでは、「★5 源頼光(以下、頼光)」が追加サーヴァントとして実装されるようです。
頼光は、数々の怪異を滅ぼした平安時代最強の怪異殺しで、既に実装されている「★5 坂田金時」の親分。
7月11日(月)のイベント開催に先駆けて、史実での活躍をチェックし、何故史実では男性なのに女体化されたのか、その理由も探っていきましょう。
平安時代最強の怪異殺し「源頼光」
「源 頼光(みなもと の よりみつ)」は、平安時代中期の武将です。
姓が"源"で思い出すのは、『FGO』に実装済みの牛若丸こと「源義経」、そして鎌倉幕府を興す「源頼朝」かと思われます。
両者が関係すると言えば、平氏と源氏の戦い「壇ノ浦の戦い」などが有名ですね。
この源頼朝が率いていた"源氏"。
この源氏の祖である「源 経基(みなもと の つねもと)」の孫が頼光で、源頼朝とは遠い親戚関係になります。
ちなみに、源経基から枝分かれする家系図を紐解くと、後に室町幕府を興す「足利尊氏」やガチャを回さない方のノッブを裏切った「明智光秀」、甲斐の戦国大名「武田信玄」など有名な武将たちに行き着きます。
さすが、源氏の血、さらに遡れば天皇の血(源経基の祖父は清和"天皇")、と思ってしまいますが、何千何百年前の昔の人の血なんて、混じりに混じり合って筆者や、これを呼んでいる人にも流れているかもしれませんので、あまり関係がないかもしれません。
閑話休題。
そんな有名武将に関係する頼光には、人ではなく、人為らざるもの・怪異と戦った逸話が「今昔物語集」や「宇治拾遺物語」などに多く残されています。
サーヴァントの紹介文に記載してある"神秘殺し"は、こちらを指しているんですね。それでは、"神秘殺し"の所以、怪異スレイヤーとしての頼光の活躍をご紹介します。
怪異スレイヤー頼光
頼光を怪異スレイヤーと称しましたが、怪異を退治していたのは、頼光一人ではありません。頼光を"将"とした頼光四天王、妖怪バスターズの活躍が大きいでしょう。
頼光四天王とは、頼光に従事していた中で、4人の優秀な者たちのことを指し、渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武がそれに該当します。
頼光四天王の活躍は、以下の記事で紹介しています。
妖怪バスターズの妖怪退治の歴史は、先のイベント・召喚でプレイヤーを大いに苦しめた茨木童子や酒呑童子、そして土蜘蛛や産女、牛鬼などの討伐が有名ですが、頼光四天王の中の一人ないしは複数人が中心となる話がほとんどで、頼光単体の武勇伝はほとんどありません。
止めを刺したなどという記述はありますが、最強の"神秘殺し"という二つ名を有すには疑問が残ります。
まあ、一騎当千の四天王たちをまとめる将ということで、伝承にはなくとも、実力が頭一つ抜けていたのかもしれません。
Fateでは女体化している頼光なので、その身体を使って四天王たちをたらし込み、将の位置に君臨していたというゲスな勘ぐりも出来そうですが、今回の女体化は、"史実では男性"とわざわざ銘を打っているので、ただ単に思いつきでされたわけじゃなさそうです。
女体化された頼光
女体化の話をする前に、頼光の姉(もしくは妹)※の話をしなくてはなりません。
頼光の父「源満仲」には、牛の角・鬼の顔を持つ「牛御前」と呼ばれた子供がいたそうです。
満仲はこの子供のことを大変忌み嫌いっており、家来である女官に殺すよう命じました。しかし、子供を哀れんだのか、女官は命令を無視し、子供を引き連れて山中へと逃げ込みます。
時は流れ、頼光が妖怪スレイヤーとして名を馳せていた頃、ひょんなことから父・満仲は殺したと思っていた牛御前がまだ生きていることを知りました。
生きているのなら再度殺すまで、満仲は息子・頼光に牛御前の討伐を命じ、頼光は四天王を引き連れて牛御前退治へ。
伝承では苦戦の末、牛鬼を倒すことに成功したとあります。
牛御前にとってはめでたくないことですが、頼光に焦点を当てていると、めでたしめでたしで終わります。
しかし、牛御前の物語はそこで終わりではありません。
牛御前を殺したものには、呪いがあったのです。
※兄か弟だった可能性もあり、諸説あります。
牛御前(牛鬼)の呪い
牛御前は、牛鬼の一種と言われています。
牛鬼とは、頭が牛で首から下は鬼の胴体、またはその逆の姿をした非常に残忍・獰猛な性格をした妖怪です。
そしてこの妖怪、自身を殺したものに恐ろしい呪いをかけるとも伝えられています。その呪いは、牛鬼を殺した者が次の牛鬼になるというものです。
もうお分かりになりますね。
牛御前を殺した頼光が呪いにより、牛御前に変貌してしまったというわけです。
先ほど、牛御前は男女どちらか明確ではないと紹介しましたが、牛鬼自体に「女に化ける」という伝承があるくらいなので、もし牛御前が男性だったとしても、Fateの頼光(牛御前)が女性になることに矛盾はありません。
頼光の武器は「童子切」と呼ばれる大太刀なので、もし顕現するならばセイバーと思っていた矢先に、バーサーカーでの顕現。しかも、宝具の名前に「牛鬼」がついていることからも、信ぴょう性が高そうです。
そして最大の「頼光=牛御前」の説を裏付ける証拠は、"牛"を彷彿とさせるビジュアルのある一部分。もし、結果的に牛御前ではなくとも、「頼光=牛」なのは間違いないでしょう。