「天魔御伽草子 鬼ヶ島」登場サーヴァント
『Fate/Grand Order(FGO)』にて、7月11日(月)より開催中の「天魔御伽草子 鬼ヶ島」イベントでは、「★3 風魔小太郎」が追加サーヴァントとして実装されました。
「風魔小太郎」と言えば、服部半蔵と並んで知名度抜群の"忍者"。
しかし、実際に風魔小太郎がいつの時代に活躍していのか、どのような人物だったのか知らない人も多いでしょう。
また、いろいろな創作物の題材になる忍者ですが、その実体を知らない人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、風魔小太郎以外に、忍者とはどういう存在だったのか、歴史の裏に生きた彼らの役割についても紹介していきます。
ちなみに、半神的超異能戦闘者では無いのでお間違いないよう。
忍者とは
忍者と聞くと、分身の術や変わり身の術など、およそ人間技とは思えない"忍術"を使う超人を思い浮かべますよね。ですが、それは創作上の忍者たち。
実際の忍者はもっと泥臭い、諜報や破壊工作、暗殺などを行う闇に潜む裏方の人間でした。
簡単に言うとスパイのようなものですが、「NINJA(忍者)」は、「MOTTAINAI(勿体無い)」や「HIKIKOMORI(ひきこもり)」のように、外国でも通じる日本語として認知されているので、似て非なるものなのかもしれません。
まあ、「忍者=忍術を使う人」と考えられているのであれば、"スパイ"なんて一言で片付けられないのでしょう。これもまた日本のアニメや漫画の影響があるのでしょうね。
閑話休題。
では、実在した忍者は実際どのような活躍をしたのでしょうか。
史実の忍者を追っていきましょう。
史実の忍者
最古の忍者
日本の忍者の歴史は、遡ること1600年前。
「聖徳太子」が「大伴細人(おおとものほそひと)」を「志能備(しのび)」として用いたと伝えられています。しかし、日本書紀などにはそのような記述がなく、実在したかは定かではありません。とは言え、内外に多数の敵がいたとされる偉人ですから、朝廷の動向を探るため、諜報員を従えていた可能性は拭えません。
"忍者"という言葉が一般的になったのは、20世紀前半の作家「司馬遼太郎」や「柴田錬三郎」などの作品による力が大きいらしいですが、それより前は"忍者"のことを"忍びの者"と呼んでいたらしいです。そう考えると、前述した"志能備(しのび)"が"忍(びの)者"の語源なのかもしれません。
戦国時代の忍者
日本最古の忍者を知ったところで、忍者が一番活躍した時代を追っていきましょう。ずばり、それは戦国時代です。
この紹介記事の中心である風魔小太郎や、服部半蔵などの実在した忍者から、石川五右衛門や猿飛佐助、霧隠才蔵など架空の忍者のモデルとされている人物も、この時代に活躍しています。
殺し、殺され、騙し、騙されの時代ですから、裏稼業を引き受ける忍者が活発に動いていたのでしょうね。それでは、お待ちかね、風魔小太郎についてご紹介しましょう。
風魔小太郎
風魔小太郎とは
風魔小太郎は、戦国武将・北条早雲の時代から100年以上、北条家に仕えていた忍者です。100年以上も仕えていたと書くと、この人も架空の人物だったのかと思うでしょう。
実は、風魔小太郎なる人物はこの世に存在しないのです。
というのも、風魔小太郎というのは、風魔と称される忍者集団の中で代々受け継がれる頭領の名前だからです。
歌舞伎や落語の世界と同じ、世襲制ということですね。
ただし、その中でも、数いる風魔小太郎の中で代表格と言われている人物がいます。それは、北条氏政・氏直父子に仕えた風魔小太郎です。
ちなみに、同じく有名な忍者に服部半蔵がいますが、こちらも服部半蔵家の党首がその名前を継ぐ世襲制。世間一般的に"服部半蔵"として知られているのは二代目で、本名は"服部半蔵正成"です。
とは言え、忍者なのは初代までで二代目の正成は"武士"の身分であり、厳密に言うと忍者ではありません。何故忍者から武士になったのか興味がある人は、調べてみるのも良いのではないでしょうか。
風魔小太郎の活躍と最期
風魔小太郎の姿は、身長が約220cmに達し、声を発すれば5.5km先まで届くと言われていた大男でした。しかし、平均身長が160cm前後の時代でしたので、群衆に紛れぬこともできない大男は、隠密行動に適さないでしょう。そう考えると、この伝承が正しいのか疑問が残ります。
しかし、この風魔小太郎は、しっかりと歴史に爪痕を残しています。
特に1581年に起こった「黄瀬川の戦い」では、敵対する武田勝頼軍を巧みに撹乱し、皆殺しにするという成果を上げました。
ただし、栄華は長く続きません。
風魔衆が仕えていた北条家は、豊臣秀吉によって滅亡の一途を辿ります。
仕えていた主君がいなくなってしまえば、戦闘による収入(報酬)が滞り、どんな優秀な忍者でも暮らしてはいけません。風魔小太郎とその一族は、江戸の町を狙う泥棒へと落ちぶれます。
最期には、同じ忍者(風魔一族ではなく別の忍者集団)の密告により、敢え無く御用。その後、徳川家により処刑され、風魔小太郎なる人物は終わりを迎えました。
裏の稼業に生きた人間が、悲惨な最期を迎えるのはよく聞く話ですが、まさか有名な忍者が泥棒稼業に身を落として処刑されることになるとは、思いもよらぬ結末と言えましょう。
仕えた主君である北条家の復興か、はたまた風魔一族再興か、カルデアに召喚された風魔小太郎が聖杯に何を願うのか、とても気になるところです。